ファクタリングとは、売掛債権の売買をすることで利用者の現金の調達をすることを可能にするシステムのことです。近年、日本でも注目のシステムですが、この仕組みはいつ頃から始まったのでしょうか?その起源について調べたので、確認していきましょう。
このファクタリングの語源には様々な説が複雑に絡み合っているので、ここも詳しく見ていく必要があります。
まず、ファクタリングの語源を確認しましょう。
英語でfactorです。これは辞書で調べると、要因や要素、因子といった意味があります。
こちらは、動詞の意味では、因数分解するという意味があります。
また、商取引きにおいては、仲買人、問屋などの意味で用いられます。
このようなところから、factorは【債権を売買】するといった意味になっています。
次に、日本大学経済学部講師の荒畑治雄の研究によれば、イギリスで19~20世紀にかけて、毛織物工業の売掛債権の分野で活躍したファクター社の行ったファクタリング業務が、現代のファクタリングの原型となっています。
かなり学術的な話が続きましたので、ここもわかりやすく解説いたします。
19世紀のイギリスは、重商主義政策の真っ只中です。
つまり、国をあげて商業を充実化させるムーブメントが盛んでした。
そこで、ファクター社は、地方の商人から販売権利を譲り受けて、都会(ロンドン)で売買をしていました。
ファクター社は、委託者の名前を明らかにはせず、自社の名前で商品の販売をして、
販売台帳を作成し委託者から手数料を受け取って利益をあげていました。
つまり、田舎で仕入れた商品を都会で代わりに売ることで、利益をあげていたというわけです。
これは商社の役割ともよく似いていますね。委託者にとってもメリットはあります。
それは商品の販売ルートの確保ができ、なおかつ、
キャッシュのフローがわかりやすく一本化することによって、本業に専念しやすくなります。
このような形でウインウインな形でお互いのビジネスをしていきます。
このようなビジネスを元手に、ファクター社は大きな利益をあげていきます。
そして、工業社にもっと仕事を専念してもらえるようなサービスを展開します。
これが現代のファクタリングの原型になっていくのですが、
ウールなどの原材料や機織り機のような設備投資をする際に、
工業社に代わって銀行や金融商から資金を受けることを通して、
確実に工業社にキャッシュが手に入るようなシステムを完成させます。
この仲介こそが、現代のファクタリングの原型なっていきます。
つまり、商社が自社であげた利益をベースに銀行へ投資し出資するフローととても良く似ています。
舞台はアメリカへ移ります。アメリカでファクタリングサービスは、馴染みのある現在の姿を変えていきます。
ベアリング社(ファクタリング会社)、外国為替の取り扱いとマーケティングの安全性の観点から、
経済的な状況を背景にアメリカでの業務を拡大していきます。
農業製品や綿花、茶などの取引に為替手形が用いられるようになります。
為替手形とは、「何日までにいくら支払います」という約束手形のことです。
ベアリング社はサービス利用者に、この為替手形を信用することで、
商品が売買される前に引き受けを行い資金を手渡すことをしています。
これが現代の日本でも馴染みのあるファクタリングです。
これが、現代では売掛債権をベースに現金を得られるシステムになっているわけです。
ファクタリングが日本に入ってきたのは、1970年代です。この頃には全く日本では浸透しませんでした。
なぜなら、その役割を銀行が担っていたのでわざわざファクタリングサービスを利用する必要がなかったからです。
しかし、バブル崩壊を機に一気に浸透していきます。この原因はなんでしょう。
それは世の中が不景気になったことに起因します。そもそも銀行は、景気がよい時にはお金をたくさん貸してくれます。
しかし、景気が悪い時には出し渋ります。当然の話ですよね。景気とは目に見えないものなので、
不景気などの不安定な状況が続くと、出し渋ってしまうのは必然的な流れです。
しかし、ファクタリングの場合は景気の動向に左右されません。
なぜなら、売掛債権のみを判断材料の根拠にしているからです。
極論を言ってしまえば、売掛債権さえ回収できればいくらでもお金は渡すことができます。
元が確実にとれるからです。つまり、新型コロナウイルスによって予想される不況は、
今後ますます銀行の融資を得づらくなっていくでしょう。それに伴って、カード会社やカードローン、消費者金融などもお金を貸しづらくなります。各社の母体のほとんどが銀行であるからです。
そこで、シンプルなお金を流れで完結しているファクタリングが今後もっと注目されていくことが容易に予想がつきます。
歴史をたどることで、現代が見えてくるものです。
以上が、ファクタリングの歴史及び日本での導入背景と現代の状況でした。