【ファクタリング知識📝】架空債権を使ったファクタリングに要注意⚠

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ファクタリングは売掛債権など、支払期日が到来していない債権をファクタリング業者が買い取ることで早期に現金を手に入れることができる手段です。
コロナ禍やエネルギー価格の値上がり、原材料価格の高騰、賃上げによる人件費増大などに伴い、資金繰りに困っている事業者から注目が集まっています。
ニーズの高まりにより、ファクタリングを提供する業者も増えており、即日入金や審査書類の簡素化などサービス競争も激化しています。
こうした状況につけこみ、架空債権によるファクタリングが行われる事例が発生しているのをご存知でしょうか。
この記事では、架空債権によるファクタリングとはなんなのか、その問題点について取りあげていきます。

 

■困っている時に便利なファクタリング

ファクタリングは、ファクタリング業者に支払期日未到来の売掛債権などを買い取ってもらうことで、早期の資金調達を実現できる手段です。
たとえば、支払いが2ヶ月後だとしても、A社のB社に対する100万円の売掛債権を手数料率15%で買い取ってもらえれば、2ヶ月待たずに85万円が手に入ります。
この85万円は返済する必要がありません。
なお、A社からファクタリング業者に債権譲渡するにあたり、A社とファクタリング業者のみで契約を行い、売掛先であるB社には知らせない方法を2社間ファクタリングと呼びます。
これに対して、A社、B社、ファクタリング業者との3社間で契約を結ぶ方法は3社間ファクタリングと呼び、売掛先から債権譲渡について承諾を得なくてはなりません。
支払期日が到来したら、2社間ファクタリングの場合はB社がA社に支払いを行ってA社がファクタリング業者に送金します。
3社間ファクタリングの場合は、B社がファクタリング業者に直接代金を支払います。
いずれにしても、ファクタリングの場合、銀行融資や貸金業者からの貸付と異なり、利用したA社は返済義務を負いません。
なぜなら、ファクタリング業者は支払期日が到来すれば、債権者として代金を得られるからです。
ただし、ファクタリング業者が支払期日まで待たなくてはならない機会損失と、債務者のデフォルトリスクを加味し、ファクタリング業者が負担するリスク分を手数料として控除します。
B社が代金を払えないデフォルトが起きても、A社がファクタリング業者に支払いをする必要はありません。
ファクタリングにあたって、A社は一切費用を負担していないので、資金繰りに困っている際に売掛債権を有していると助かります。

 

■ファクタリング業者の過熱競争

コロナ禍で三密回避や自粛の動きが広まり、開店休業状態のお店が増えたり、ロシアとウクライナの戦争により、エネルギー価格や原材料価格が高騰したり、働き方改革や人手不足解消のための賃上げニーズなどに伴い、資金繰りに苦慮している事業者が増えてきました。
経営状態が悪化して銀行融資の審査に通らなかった場合やすでに返済が難しくなるほど借りてしまっているケースも少なくありません。
そんな時、倒産リスクを回避するためにも手元にある売掛債権を現金化できたら助かる事業者は多いです。
こうした世の中のニーズに呼応する形で、ファクタリング業者も増えていきました。
数が増えればおのずと、顧客獲得競争が始まります。
即日入金など入金スピードを高めるために審査条件を緩和したり、必要書類を簡素化したり、注文書しかない受注段階でも買取をするといったケースもあります。
利用者や債務者と面談をして対面で契約を行うこともなく、オンライン上のやりとりで2社間ファクタリングで済ませているケースも少なくありません。

 

■架空債権によるファクタリングの横行

ファクタリング業者の競争激化で、各社が利便性アップやスピード化を高めていく中で、それに便乗してファクタリングを利用した詐欺行為も横行してきました。
その一つが、架空債権によるファクタリングです。
架空債権とは、実際には存在しない債権のことです。
架空債権を捏造して契約や受注があったように見せかけ、契約書や請求書、注文書などを偽造してファクタリング業者に提出し、それを買取させて代金を受け取る詐欺行為をする事案が登場しています。
実際には取引は行われていないので、売掛債権は存在せず、代金の回収ができません。
売掛先にある名称の事業者が実在していたとしても、取引がなく、売掛債権が存在していない以上、ファクタリング業者は代金を受け取ることができず、ファクタリング利用者に支払ってしまった分損失を被ります。

■架空債権によるファクタリングの事例

実際に事件に発展したケースでは、ある女性が額面の合計900万円分、架空の請求書4通の画像をインターネットで送信し、ファクタリング業者から買取代金の一部として290万円を騙し取った事例があります。
また、とある会社の役員が東日本大震災の復興工事に関する架空債権を捏造し、合計額面1億3,977万1,800円の債権を譲渡したうえで、手数料を割り引いた1億2,579万4,620円を受け取った事例もあります。
数百万円でも大きな損害ですが、億単位となるとかなりの損害を被るため注意が必要です。
損害賠償を受けるには民事訴訟を起こさなくてはならず、一方、詐欺罪として慶事告発して刑罰に処してもらうなど、手間や精神的な負担もかかります。
架空の取引である以上、実際に現金が動くことはないため、賠償を求めても賠償が受けられない可能性も少なくありません。
損害が大きくなるため、架空債権にごまかされないよう、慎重な審査や手続きを取ることが求められます。

 

■ファクタリングのリスク

ファクタリングは、目に見えない債権を買い取る行為なので、架空の契約書や請求書で騙されてしまうリスクは大きいです。
しかも、利用者に買取代金の支払いをしてから、支払期日が先なので、それまでの間に利用者と連絡が取れなくなり、持ち逃げされるリスクが極めて高いです。
支払いをしてから1ヶ月から数ヶ月先の支払期日まで、毎日連絡を入れるわけにもいきません。
詐欺をしようとする人は、そうしたリスクをうまく利用してファクタリングを利用してくるので注意が必要です。

 


・2社間ファクタリングの問題点


2社間ファクタリングは、ファクタリング業者とファクタリングの申し込みをした利用者の間だけで契約が行われます。
売掛先にファクタリングをするのが知られると、資金繰りが悪化しているのではと勘繰られ、取引を切られることや信頼関係が悪化すると考える事業者も多く、売掛先と3社で契約をする3社間ファクタリングよりもニーズが高いです。
ファクタリング業者の側からすると、売掛債権の債務者には通知せず、承諾を受けずに行うので、取引が実際にあったのか確認することができません。
そのため、売掛債権の存在は契約書や請求書、注文書や受注書などをチェックすることになります。
この書類が偽造であることを見破れないと、架空債権詐欺に遇ってしまいますが、簡単には見破れません。
2社間ファクタリングでは、売掛先には知らせないことがルールなので、電話などで調査することもできません。
そのため、2社間ファクタリングでは、売掛先からも承諾を得る3社間ファクタリングに比べて、架空債権による詐欺ファクタリングの被害が起こりやすくなります。

 


・3社間ファクタリングの問題点


中には取引先がグルとなって、取引の実態がないのに架空請求書や契約書を作成して、買取を行わせ、買取代金を山分けしているようなケースもあるので注意しなくてはなりません。
そのため、債権の事実を証明する書類の存在だけでなく、過去の売掛取引の履歴がわかる通帳の調査や実際の取引実態なども調査してからファクタリングを行わないと、詐欺被害に遭うおそれがあります。
即日入金などスピードを競い合っているファクタリング業者も増えていますが、こうした詐欺に遇わないためには、書類のチェックや審査は慎重にしなくてはなりません。

 

■架空債権ファクタリングの予防対策

売掛先に直接確認ができない以上、本当に取引の実態があるのか、契約書や請求書だけでなく、より綿密に調査することが大切です。


・通帳履歴のチェック


売掛取引は、通常単発で行われるものではなく、お互いに信頼関係を築いた常連の顧客と行うのが一般的です。
そのため、これまでの支払履歴がわかる通帳のコピーなどを提出してもらうと、確認が取りやすくなります。
長年の入金履歴がわかる通帳の取引履歴まで偽造するのはかなり困難です。
そのため、通帳の履歴を確認することで、取引実態の有無を確認しやすくなります。
特に、まったく売掛取引をしていないようなケースや事業も行っていないのに取引があるかのように装って利用しようとする悪質な人の場合、通帳履歴は一切なく、提出が難しくなります。
また、売掛取引の初回の債権は買い取らないなど、過去の売掛実績のないケースはファクタリングをしないのも一つの対策です。


・契約書の実印チェック


一方で、これまでも売掛取引をしてきた履歴があり、通帳の履歴にも掲載されている売掛先と、架空の取引を捏造されると、通帳のチェックでは嘘を見抜けません。
ユーザーの利便性アップのために契約書ではなく、受注段階の注文書でも買い取るようなファクタリング業者もありますが、より偽造しにくい書類の提出を求めることや納品が済んでからでないと買い取らないなど、スピード重視を控えることも予防策につながるでしょう。
たとえば、法人間の契約書には通常法人の実印や代表者印が押されます。
実印や代表者印の偽造は素人レベルでは難しいので、注文書の偽造よりも難易度が高くなるので、架空契約であると見破りやすくなる可能性があります。


・実態に即さない取引でないかチェック


中には、売掛先と共謀して、実際には行っていない取引を装い、買取代金を山分けしようと画策するケースもあるので要注意です。
売掛先とグルになられると、2社間ファクタリングでも、3社間ファクタリングでも、架空債権だと見破るのは難しくなります。
お互いに資金繰りに困っていることが予想されるため、両者の経営状態を詳しく調べるのがポイントです。
両者とも債務超過で赤字なのに、ファクタリングを希望する契約が高額な取引になっているなど、現状に即さない内容になっていないか確認しましょう。


・初回利用は少額に限定する


初めての取引で高額の架空債権を買い取ってしまうと、支払期日には行方をくらまし、お金も使われてしまいます。
仮に刑事事件で逮捕されても、民事裁判でお金を返してもらうのは実質的に難しいでしょう。
そのため、初回のユーザーは少額のみに限定するなどのリスクヘッジも大切です。
初回利用で、支払期日が到来して確実に代金が回収できたら、次回以降のファクタリング利用を認めましょう。
特に、事業を行っていない架空の会社を装った場合や事業をしていないのに個人事業主を装う人などの場合、少額でも代金を返せないおそれがあります。
一方で、少額の債権買取をさせて、代金も支払い、安心させておきながら、後日高額の架空債権を買取させて持ち逃げするケースもあります。
顧客の利用履歴は毎回チェックし、いつもと違う依頼が来た時は注意しましょう。


・債権譲渡登記を要求する


2社間ファクタリングは、売掛先が絡まない分、3社間ファクタリングに比べてより架空債権ファクタリングがしやすくなります。
そこで、2社間ファクタリングの場合には、債権譲渡登記を要求するのも詐欺の予防につながります。
債権譲渡登記は、本来二重譲渡の防止に活用されるものです。
ですが、債権譲渡登記ができるのは登記所に登録している法人のみに限られるので、未登録の架空の会社や事業をしていないのに個人事業主を装う悪質な利用者を排除することができます。
債権譲渡登記をするには、登録免許税の支払いや司法書士への報酬支払いなどコスト負担が増えるため、ファクタリングをするハードルが上がるので、架空債権によるファクタリング利用を防ぐことに役立ちます。

 

■まとめ

架空債権を使ってファクタリング業者から買取代金を騙し取る悪質な犯罪行為が増えています。
ファクタリング業者の過熱競争に伴い、スピードアップや利便性を高めた結果、架空の請求書などを偽造して騙そうとするものです。
架空債権ファクタリングを予防するには、提出書類のチェックをしっかり行い、審査に時間をかけることや債権譲渡登記を求めるなどの対策も必要です。

 

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