海外のファクタリング市場と日本のファクタリング市場の比較と今後

はじめに

みなさんは、ファクタリングサービスをどのていど知っています。日本国内では、ここ数年間で耳にする機会が多くなってきたように思われます。しかし、ファクタリングは元来海外で始まり、主流となっているサービスです。そこで今回の記事では、海外と国内のファクタリング市場をそれぞれ確認し、比較してみましょう。そして、それらを踏まえて、これから先、ファクタリング市場がどのような推移をたどっていくのかを考えてみましょう。

海外のファクタリング市場

まず、ファクタリングとは、もともとは海外で発展していたサービスです。そのため、海外の主要国ではすでにファクタリング市場規模は拡大しており、今後も継続して伸び続けると考えられます。具体的な数字を見て、海外でファクタリングがどのように拡大しているのかを確認しましょう。 ここでは、FCI(Factors Chain international)のデータを参照します。なお、単位は百万ユーロになっていることにご留意ください。2019年には、中国は484,205、フランスは419,657、イギリスは394,759、ドイツは330,389となっています。これらの国々の2013年次の市場規模はそれぞれ、中国は453,754、フランスは240,551、イギリスは369,715、ドイツは205,648となっています。これらのデータからわかることとしては、フランスやドイツは2013年から2019年にかけて、ファクタリング市場規模を大幅に拡大しています。反対に、中国やイギリスは2013年から2019年にかけてファクタリングの市場規模は微増しているのみです。つまり、これは、2013年より前の段階から市場規模がすでに大きかったことを意味しています。

日本のファクタリング市場

このように世界各国においてファクタリング市場は拡大し続けていますが、日本ではどうなっているのでしょうか？国内におけるファクタリング市場は、いまだに知名度が低かったり、誤った認識や偏見が多く残っていたりします。しかし、ここ最近では、ファクタリングサービスについて耳にする機会が増えてきたように思います。では実際にどのくらい、国内におけるファクタリング市場は拡大しているのでしょうか。 ここでは、上記同様にFCIのデータを参照します。まず、2013年から2017年にかけては、51,072、54,184、49,466、37,284となっており、市場規模は年々縮小していました。その背景には、ファクタリングサービスに対する偏見や差別的な認識がありました。国内において、「ファクタリング＝怪しい・危ない」などという偏見が広まっていました。しかし、その後、2017年から2019年にかけては、37,284、48,384、49,446と少しずつ市場規模が拡大していることがわかります。データは2019年までのものしか公表されていませんが、おそらく2020年以降もファクタリング市場は拡大しているでしょう。そして、今後もファクタリング市場は、順調に拡大していくであろうと予想されます。 しかし、日本国内においてファクタリングサービスが拡大しているとはいえ、海外の市場規模と比較すると、その差は歴然としています。中国の484,205、フランスの419,657というデータを見ると、日本の49,446という規模は、桁が違うことが理解できます。このように、徐々に国内でも拡大しているファクタリングサービスですが、海外ではファクタリングという資金調達の手段はごく当たり前のものになっているのです。

ファクタリング市場のこれから

これまで海外と日本におけるファクタリング市場の動向や現状を確認しました。では、今後、海外と日本国内においてファクタリング市場はどのように推移していくのでしょうか。 まず、海外の主要国において、ファクタリングサービスは、すでに一般的な資金調達の手段の一つとしてのポジションを確立しています。まだそのようなポジションが未確立な国においても、これから先少しずつファクタリングサービスは一般的なものとなっていくと考えられます。 そして、日本国内においてもまた、ファクタリング市場は今度拡大していくと考えられます。その背景には、いくつかの理由があります。まず一つ目はファクタリングに関する規制が緩和されたことでしょう。2020年汚民法改正により、債権譲渡禁止特約付きの売掛債権でもファクタリングを利用することができるようになったのです。改正前は、ファクタリング会社は債権譲渡禁止特約の存在を知りながら売掛金の買収をすると、譲渡無効とみなされ、多大な損失を被る場合がありました。しかし、改正後は、債権譲渡禁止特約が付与されている債権でも譲渡が可能になったため、個人事業主および中小企業様が、資金調達を非常に行いやすい環境となりました。またそれだけでなく、民法改正後には、経済産業省が、債権譲渡による資金調達を積極的に推進しています。そのため、今後、海外国同様に、国内でもファクタリングサービスは徐々に拡大し、そう遠くない未来において、資金調達の手段の一つとして使いやすいものになるでしょう。