担保融資（ABL）とは？ファクタリングとの違いを徹底解説 近年、現金調達の方法は多様化し、さまざまなサービスが新しく導入されています。その背景には、テクノロジーの発達や法改正などがあります。その結果、よく似たサービスが複数登場しています。これらのなかには、良いものだけではなく、悪質に似せているものも存在します。そういう悪質な業者に騙されないためには、正しい知識を身につけ、微妙な言葉のニュアンスの違いを感じ取り、正しく理解し判断する力が必要不可欠でしょう。そこで、本記事では、よく似たサービスである売掛金前払いサービス（ファクタリング）と売掛債権担保融資（ABL）との違いをわかりやすく説明いたします。結論から述べると、売掛債権担保融資（ABL）は融資であるのに対し、売掛金前払いサービス（ファクタリング）は融資ではありません。詳しく後述いたしますので、気になる方はぜひチェックしてください。 売掛債権担保融資（ABL）とは 売掛債権担保融資とは、その名前からも分かるとおり融資です。こちらは、売掛債権や商品在庫などの流動資産を担保とするサービスのことです。少し難しい概念が乱発しているため、少々混乱しているかもしれませんが、わかりやすく咀嚼いたしますのでご安心ください。 売掛債権とは まず、売掛債権（売上債権）とは、商品やサービスを販売したときに生まれる「お金を請求する権利」のことを指します。小売業や飲食業だと小口のお金の流れになるため、基本的にこのような債権は発生しません。しかし、大口の取引をした場合には、このような権利が発生します。そして、取引先にこの金銭を請求しますが、この請求にはタイムラグが存在します。このタイムラグが長い場合では、3ヶ月後の入金などということもあり得ます。 流動資産とは 流動資産とは、１年以内に現金化が見込まれる流動性の高い資産のことを指します。ここには、現金や預金、売掛金などが含まれます。いわゆるキャッシュフローなどは全てここにカウントされます。また、商品や製品、材料なども流動資産に含まれます。一方で、土地や建物などのことを固定資産といいます。固定資産という言葉は、聞き馴染みがある人が多いのではないでしょうか。 それでは改めて、売掛債権担保融資（ABL）についてご説明いたします。この売掛債権担保融資（ABL）とは、売掛債権などの流動資産を担保とすることにより、お金を融資するサービスのことです。当たり前のことですが、念のために確認します。融資とは、お金を貸すことを指します。ここまでは単純な流れですので、ご理解いただけたのではないでしょうか。それでは、この売掛債権担保融資（ABL）と売掛金前払いサービスは、一体何が異なるのでしょうか。次項以降で、説明いたします。 売掛金前払いサービスとは 売掛金前払いサービス（ファクタリング）とは、売掛債権などを買い取り、手数料を差し引いた金額を入金するサービスのことです。ここでは、上述の“融資“という単語を使用していないという点にご注目ください。そうです、売掛金前払いサービスは、融資ではありません。つまり、それはお金の貸し借りではないということなのです。 両者の違い 両者は似たサービスではありますが、この二つのサービスは“融資“という言葉により隔てられています。実は、融資をする場合には、免許をもっていなければ経営できないという法律（貸金業法）が存在します。そのため、免許をもっていない業者がお金を貸すことは、法律により禁じられています。しかし、売掛金前払いサービスの場合は、利息ではなく手数料で利益を得ているため、貸金業法に触れることはありません。そのため、これはお金の貸し借りではありません。また、一般的に、売掛金前払いサービスの方が、手数料が高くなるという傾向があります。しかし、企業によっては、増え続ける利息に比べれば、手数料の方が圧倒的に安くなる場合もあります。実際に、アクティブサポート社が実施するQuQuMoでは、手数料の額が1%〜となっています。そのため、出費をかなり安く抑えることも可能なのです。そして、融資ではないという点は、企業にとって大きなメリットでもあるのです。 融資でないことの利点 融資でないということは、売掛金前払いサービスの大きな利点です。なぜなら、融資の場合は、他の融資を申請するときに、「他社からの借入」を記入しなければなりません。しかし、売掛金前払いサービスでは、この記入の必要がありません。なぜなら、売掛金前払いサービスは融資ではないからです。さらにわかりやすくご説明いたします。売掛金前払いサービスは、融資ではなく、売却にあたります。これは値段のついた流動資産を売却することを意味します。その結果、一回の完結した取引となるため、その定義の性質上融資にはなり得ないのです。もちろんこれは法的にも認めれています。そのため、キャッシュフローを潤滑化させるためには、融資よりもこちらのサービスの活用を選択した方が、中長期的に考えると、企業の経営にプラスに転じることもあります。これらの利点を内包した売掛金前払いサービスを活用することは、企業にとってメリットがとても大きいということです。以上が、売掛債権担保融資（ABL）と売掛金前払いサービスの違いとなります。