【ファクタリング知識📝】ゼロゼロ融資の返済が始まって起こることとは?

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新型コロナウイルスは多くの企業に影響を与えました。
これによって、資金繰りが悪化した企業に向けて、政府系や民間の金融機関は救済策としてさまざまな融資を行います。
そして、新型コロナウイルスのダメージから日本が立ち直りつつある中、この融資の返済期間が迫りつつあるのです。
今回はいわゆる「ゼロゼロ融資」の概略と、返済スタートで起こり得る出来事について解説していきましょう。

 

■ゼロゼロ融資とは?

通常、お金を融資してもらう際は、タダで借りられるはずはありません。
たとえば、お金を月に一回少しずつ返していくにしても、利子を合わせて返していくのが一般的です。
また、借り手が仮にお金を返せなくなったとしたら、金融機関はその担保を求めなくてはいけません。
契約の際に連帯保証人として選んだ知人や友人にお金を取り立てることはその一例と言えるでしょう。
このように、本来融資を受けるにあたっては、利子や担保が必須です。
しかしながら、2020年以降新型コロナウイルスの蔓延に伴って行われた融資においては、利子が低かったり、担保が必要なかったりしたケースがほとんどでした。
そのため、こうした融資のことをゼロゼロ融資と呼ぶようになりました。
それくらい経済状態が悪化していたので、そうでもしない限り企業はお金を借りに来ないだろうと見られたのです。


・ゼロゼロ融資の例


では、新型コロナウイルスが流行していた頃、各金融機関はどのような融資を行っていたのでしょうか。
まず先陣を切ってゼロゼロ融資を行っていた金融機関として、日本政策金融公庫が挙げられます。
日本政策金融公庫では、「新型コロナウイルス対策マル経融資」と称して、経営状況が悪化した企業に向けて有利な条件で融資を行っていました。
具体的には、一ヶ月の売上高、もしくは過去6ヶ月の平均売上高が前年に比べて5%を割っていた企業に対して融資が行われます。
気になる金利ですが、通常日本政策金融公庫では1.2%と設定しているところ、3年の間0.7%に引き下げることにしました。
利子がゼロになったわけではありませんが、これでも相当優遇された融資と言えるでしょう。
また、マル経融資はそもそも担保も保証人もいらない融資として知られています。


・ゼロゼロ融資は成功したか


ここまで、ゼロゼロ融資の概要について見てきました。
ここで気になるのは、このような対策が果たして功を奏したかどうかです。
確かに、コロナ禍において倒産した企業は数多くあります。
一方で、各金融機関がゼロゼロ融資を行ったおかげで倒産が防げた企業があることも事実です。
たとえば、コロナ禍前の2019年にはおよそ8,300件の中小企業が倒産しました。
一方で、2020年には7,700件の倒産、2021年には6,000件の倒産にまで食い止められています。
経済状況が悪化したにもかかわらず倒産件数が減少している一因として、ゼロゼロ融資の果たした役割は大きいと言えます。


・ゼロゼロ融資の問題点


このように、大きな成果をもたらしたゼロゼロ融資融資ではありますが、何もかも良いことずくめだったわけではありません。
まず、不正融資が横行したことは見逃していけないでしょう。
本当に経営が苦しい企業にとって、こうしたゼロゼロ融資がありがたい存在であったことは間違いありません。
しかしながら、中にはこうした制度を悪用してお金を騙し取ろうとしたケースも存在します。
しかも、2022年には中日信用金庫が売上などの数字を書き換えたうえで、不正な融資に加担していたことが明らかになりました。

 

■ゼロゼロ融資の返済が始まることで起きるトラブル

ゼロゼロ金利が少なからぬ問題点を抱えている一方で、中小企業にとって救世主になった面は否めません。
とはいえ、借りたお金は返さなくてはいけないのが原則です。
そして、たとえ無利子であろうと、こうしたお金を返していくのに苦労する企業が多くあるのが予測されています。
特に2023年になってから、ゼロゼロ融資の返済は大きな問題を引き起こすだろうと警鐘が鳴らされていました。
なぜ2023年かというと、2020年に融資が行われた場合、この時期が返済の開始時期になるからです。
一般的に融資は元金据え置き期間といって、借りたお金の分は返さなくても良く、利子だけを返せば許される期間が設けられます。
ゼロゼロ融資の場合、元金据え置き期間は3年間と決めている金融機関が多かったので、2023年に返済が集中したのです。
では、この返済がスタートするとどのような事態が起こるのでしょうか。


・返済しきれずに倒産する企業が増加


まず懸念されるのは、新型コロナウイルスの流行が落ち着いても経営状況が良くならない企業が返済できなくなる事態です。
元々、こうした企業は経営体力がないからこそ、融資に頼らざるを得ないのが一般的です。
それに加えて、外出自粛を求められたり、営業時間短縮を求められたりすれば、相当なダメージを負う企業が多くいるでしょう。
たとえその後経済が回復したところで、ダメージから回復できないままでいる企業は珍しくありません。
その結果、赤字が続いた末に融資されたお金を返済できず倒産するという企業が多く出るだろうと予測されているのです。
実際、2023年の時点で融資を受けたにもかかわらず倒産した企業は500件近くにのぼるというデータもあります。
もちろん、今の時点ではお金を返済できてはいるものの、あまり経営に余裕がなくいつ倒産してもおかしくないという企業も中にはいるでしょう。
いうなれば、日本の中小企業はいつ爆発してもおかしくない爆弾を抱えている状態で、ゼロゼロ融資の返済を行わなくてはいけない状態にあると言えます。


・倒産は経済の新陳代謝を促す?


真面目に返済しようと考えていたけれども、それでも返済できなかったという企業の場合はまだ同情の余地があります。
とはいえ、中には新型コロナウイルス前から経営状態が良くなかったにもかかわらず、ゼロゼロ融資のおかげでどうにか生き延びたという企業も含まれているでしょう。
こうした企業が返済できなくなった結果、倒産したとなっても、それは必ずしも悲しむべき事態とは言えないです。
もちろん、融資されたお金を無駄にしてはいけませんから、それはそれでしっかりと返済してもらわなければいけません。
しかし一方で、こうした死に体の企業が倒産することによって、業界に新陳代謝が行われるという見方もできるでしょう。
たとえば、経営状況の良くない会社に優秀な社員がいたとしましょう。
こうした社員が倒産をキッカケに転職すれば、業界全体にはメリットが生まれます。
この意味では、ゼロゼロ融資の返済開始で生じる倒産は、遅かれ早かれ行われたはずの淘汰だったと言えます。
私たちは倒産と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいますが、一つの会社が終わることは何もかも悪いというわけではありません。


・回収しきれなくなったお金が増えることで社会問題に


通常返済されなかった融資は、各金融機関があの手この手で取り立てるものです。
一件一件の返済ならば取り立てるのはそこまで難しくないでしょう。
しかしながら、2020年以降金融機関では数多くの融資が行われてきました。
そのため、返済の受付も膨大になってしまい、仮に返済が滞れば取り立ても難しくなっていきます。
その結果、回収しきれなくなったお金が焦げついてしまったら、社会問題になりかねません。
一般的に民間銀行の融資が焦げついてしまった場合は、各自治体に設置されている信用保証協会が肩代わりを行います。
しかしながら、協会の資金にも限界があるので、場合によっては肩代わりしきれなくなってしまうでしょう。
そうなると、政府の予算から肩代わりが行われますが、いうまでもなく予算は国民の税金で賄われるものです。
つまり、一つの中小企業が支払えなくなった借金を国民が肩代わりするという構図になってしまいます。
もちろん、これは日本政策金融公庫のような公的機関でも例外ではありません。
そのため、ゼロゼロ融資は単に企業や金融機関の問題ではなく、日本国民全体の問題といっても過言ではないのです。

 

■もしゼロゼロ融資のお金が返せなくなったら?

ここまで、ゼロゼロ融資の返済開始で予想される事態について解説してきました。
ここからは、ゼロゼロ融資を受けた企業の立場になって考えていきましょう。
仮にあなたが経営者だった場合、融資されたお金が返せなくなったらどう対応するでしょうか。
返済を諦めて倒産を選ぶというのは時期尚早です。
実は、政府は融資を受けた企業が経営状況を改善できないままだった場合に備えて、さまざまな救済策を用意しています。
ここからは、その救済策であるコロナ借換保証と早期経営改善計画策定支援事業について解説していきましょう。


・コロナ借換保証とは?


コロナ借換保証という制度は、中小企業庁が2023年にスタートしました。
これは、簡単に言えばゼロゼロ融資の返済がまもなくスタートするけれど、返せる見込みがないという企業の返済期間を先延ばしする制度です。
コロナ借換保証を申し込むことで得られるメリットの一例として、元金据え置き期間の延長が挙げられます。
先ほども述べたように、一般的な金融機関では元金据え置き期間を3年と定めているところが多いです。
ですが、コロナ借換保証の申請が通れば、これを最大5年に引きのばすことができます。
また、コロナ借換保証では追加で融資を受けられることができます。
もちろん、この融資についても返済期間はありますが、その間に経営計画を練り直すこともできますから、極めて有意義な制度と言えるでしょう。
最後に、コロナ借換保証の特徴として、信用保証料の引き下げが挙げられます。
通常、企業がコロナ借換保証のような保証制度を利用するためには、各自治体に設置されている信用保証協会に加入しなければいけません。
そして、協会に加入し続けるために支払わなければいけないのが信用保証料です。
信用保証料は決して安い金額ではないので、経営状態が芳しくない企業にとっては負担でしょう。
コロナ借換保証ではこれを0.2%にまで引き下げることができます。
このように、コロナ借換保証はさまざまな面で返済に悩む企業を助けてくれる制度と言えます。


・コロナ借換保証を利用できる条件


ちなみに、コロナ借換保証に申請するためにはさまざまな条件に合致していなければいけません。
日本では、セーフティネット保証制度というものがあります。
たとえば、売上高が前年と比べて20%減少している場合には、セーフティネット4号と認定されます。
このセーフティネット4号と5号に当てはまらないとコロナ借換保証の対象にはなりません。
これに加えて、コロナ借換保証に申請するためには経営行動計画書も作成する必要があります。
ゼロゼロ融資を受けるのと同様、借換保証を受けるにも長期的な行動計画は欠かせません。


・経営計画を策定し直して融資を返しやすくなる会社に


次に、早期経営改善計画策定支援事業について見ていきます。
これは、ポストコロナ持続的発展計画事業とも呼ばれる支援事業です。
そもそも、なぜゼロゼロ融資の返済が難しくなる企業が多発するのかといえば、経営に関するノウハウが蓄積されていないことも珍しくありません。
利益を出しにくい体質になっている企業が、いくら融資を受けたところでそれを返していける見込みは少ないでしょう。
こうした事態を防ぐために編み出されたのが、早期経営改善計画策定支援事業です。
この事業で中小企業に支援されるのは、経営の専門家への依頼料の補助です。
経営のノウハウがない企業にとって、経営に詳しいコンサルタントによるアドバイスは欠かせません。
一方で、こうしたコンサルタントは依頼料が高くなりがちなので、中小企業には支払えないでしょう。
支援事業では依頼料の3分の2が補助されるので、コンサルタントに依頼がしやすくなります。
事業は融資などと違って返済する必要がありませんから、こうした補助を受けながら経営計画を作り直しやすくなるでしょう。

 

■まとめ

2020年には連日ニュースを騒がせていた新型コロナウイルスですが、今では滅多に話を聞かなくなってしまいました。
それだけ日本の社会がパンデミックから立ち直りつつあるという証拠でもありますが、一方で中にはコロナ禍で負った損害から回復しきれていない人々もいます。
今後はこうした企業をどう救うかが焦点になっていくでしょう。

 

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