ファクタリングは、ローンに代わる資金調達法として着目されています。
ローンとは根本的に異なるサービスですが、ローンと混同している人は少なくありません。
たとえば、個人信用情報の履歴に問題があると利用できないと考えている人は多いのです。
ここでは、ファクタリングと個人信用情報の関係、個人信用情報に問題のある人のための資金調達法、ファクタリングの審査のコツなどについて解説していきます。
■個人信用情報にどのような影響を与えるのか?
金融機関からお金を借りる際には、個人信用情報機関への照会が必ず行われます。
これは過去の返済履歴をチェックし、融資するに値するかどうかを見極めるためです。
ファクタリングに関しても、銀行・民間会社などの金融機関が提供するケースが大半ですが、根本的にローンとは性質が異なります。
売掛債権を売却して資金調達をする手法であり、お金を借りるわけではないからです。
そのため、個人信用情報に影響を与えることはありません。
そもそも個人信用情報で照会されるのは、現在における借入・返済状況、過去の返済履歴の3点になります。
現在どの程度の借り入れがあり、債務残高はどのくらいか、過去の返済履歴に問題点はないかなどをチェックされるのです。
金融機関はボランティア団体ではなく、営利を目的に運営しています。
そのため、申込者の同情に乗るようなことは決してありません。
あくまでも、借入金に対して十分な返済能力があるかどうかを見極められるのです。
なお、個人信用情報機関には、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3機関があります。
■ファクタリングは与信取引には該当しない
与信とは、簡単にいえば相手の信用をもとにした取引を行うことです。
小規模な金融機関がよく導入している対面与信は、申込者と対面したうえで融資に値する人物か判断する手法です。
金融機関は審査をせず、融資を決行することは決してありません。
もし返済能力のない人物に貸付をすると、1円も回収できなくなる可能性があるからです。
一方で、ファクタリングは融資ではないので、与信取引には該当しません。
利用に際して求められる条件は、申込者の返済能力ではないのです。
あくまでも売掛先の信用力、支払能力が重視されます。
企業間の取引において、商品・サービスを売却した直後に料金の受け取りする事例は極めて少ないものです。
入金には少なくとも2ヶ月は要することが多く、この期間が長ければ長いほど、キャッシュフローが悪化しやすくなります。
また、経営状況が不安定な売掛金の場合、入金がたびたび遅れることがあり、こうしたケースではファクタリングの審査に落ちる可能性が高くなります。
■ファクタリングに審査がないわけではない
ファクタリングは、個人信用情報に対する照会や情報開示請求は行われません。
ただし、審査がないわけではなく、売掛先を対象に実施されています。
ここでポイントになるのは、売掛先に売掛金の支払いをするだけの十分な余力があるかです。
すでに売掛金の入金が遅延している状態では、売掛先の信用力が乏しいとみなされるため、ファクタリング会社から資金調達を受けられない可能性が高いです。
売掛先の審査をする状況においては、必然的に売掛先にファクタリングサービスの利用が通知されます。
申込者と売掛先、そしてファクタリング会社の3社間で面談を行いながら審査が進められていくためです。
売掛先を含めずに協議する2社間ファクタリングにおいては、面談で審査を行わないため、売掛先の信用力を正確に診断するのが困難になります。
そのため、利用手数料は高めに設定されているのです。
なお、ファクタリングの利用には手数料がかかりますが、金利という概念は存在しません。
金銭の貸し借りを行うわけではないからです。
手数料は、利用額の5%や15%などの表記となっています。
たとえば、売掛金200万円に対して5%ならば、10万円が手数料になるわけです。
■個人信用情報に影響しないメリット
ファクタリングを利用する企業は、多くが中小企業となっています。
企業が利用する融資は、事業規模の大きな企業ほど低金利の金融機関から借り入れしている傾向が強いです。
一方で、中小企業の中には、消費者金融やカードローンなどで資金調達をしているケースが珍しくありません。
これらの方法は、いずれも高金利での借り入れとなり、金利は15%以上での利用になるケースが多々あります。
高金利の融資を利用している場合、必然的に返済の遅延が発生しやすいです。
元金はもとより利息の支払いで行き詰まってしまうことが多いからです。
そして、返済が遅延して事故情報に登録されると、追加融資を受けられないのはもちろん、新たな金融機関からも借り入れができなくなります。
すると、資金繰りに行き詰まり、事業資金の調達ができず事実上の事業ストップに追い込まれる可能性が高いです。
ファクタリングがこれほど注目されるのは、こうした行き詰まった状況においても利用できるからです。
すでに借金の延滞が続き、完全なるブラックの状態にあっても、売掛先の信用力が十分にあれば資金調達が可能になります。
複数の貸金業者に立て続けに申し込み、そして落とされる申込ブラックの状態でも問題ありません。
一方で、申込者の信用に難がなくても、売掛先の信用が低ければ審査に落とされます。
■今後のローン利用において悪影響を与えない
借入件数・借入金額が多い企業は、新たに借り入れするのが容易ではありません。
融資の審査は1社目が最も有利だと言われていますが、これは最も返済能力が高い状況だからです。
借入先が2社目、3社目と増えてくると、相対的に返済能力は低下していくでしょう。
それゆえ、借りすぎている企業は、本当に困った時に追加融資を受けられなくなる可能性があるのです。
それに対して、ファクタリングは借金ではないため、複数社の利用をしても今後のローン利用に悪影響を及ぼしません。
そのため、今現在はファクタリングを利用し、万が一の状況で金融機関から借り入れする方法を採れるのです。
ファクタリングを利用する状況として適しているのは、金融機関への返済資金を用意できない時です。
返済資金を捻出する術がない時、ファクタリングが役立ってくれるでしょう。
■2社間ファクタリングと申込企業の信用
買取ファクタリングにおける利用者情報を見ると、2社間サービスの利用率が圧倒的に多くなっています。
これは、売掛先には秘密裏にしながら、資金調達をしたいと考える企業が多いためです。
売掛先に発覚すれば今後の取引に悪影響を与えると懸念する申込企業は少なくありません。
それゆえ、あえて3社間サービスよりも金利の高い2社間サービスを選択する企業が多いのです。
ここで注意したいのは、2社間サービスは金利が高いだけでなく、審査で申込企業の信用をより精査される点です。
たとえば、必要書類はより詳細までチェックされますし、ヒアリングは繰り返し実施される傾向があります。
もし申込企業が虚偽の事実を報告していれば、ファクタリング会社が損害を被るからです。
特に取引額が大きくなると、審査はより厳格に行われると考えて良いでしょう。
すべてのファクタリングサービスは、個人信用情報機関への情報開示を行いませんが、金銭のやりとりをする以上は信用力を求められます。
必要書類に怪しい点がある、話が矛盾している、なんとなく怪しい雰囲気があるといった申込企業は却下される可能性があるわけです。
審査で嘘をついてもデメリットしかないため、必ず事実だけを申告するようにしてください。
■ファクタリング会社が懸念するケース
申込企業の中には信用力に難がある会社が存在します。
ファクタリングは個人信用情報機関との関連性がない一方で、ファクタリング会社間では独自のデータを共有しているケースがあります。
たとえば、過去にさまざまなファクタリング会社と取引をしており、トラブルを引き起こしている申込企業は審査を受けられないことが少なくありません。
個人信用情報機関への開示がないから、100%審査に通過できるとは限らないのです。
ファクタリング会社は売掛金のスムーズな回収を希望しています。
それゆえ売掛金の支払日が近いほど審査で有利になるのです。
逆に支払日が遅くなるほど、回収不能になるリスクが高くなります。
ファクタリング会社は売掛金の信用力を判断する際に、売掛金がスムーズに支払われてきたか精査するのです。
たとえば支払いが1ヶ月後よりも、3ヶ月後のほうがキャッシュフローが悪いと判断されやすいです。
■信用力と手数料は比例する
ファクタリングの利用に際して、個人信用情報に情報開示請求をされる心配はありません。
ただし、契約に際しては必ず審査があり、信用力は審査に通過するための大きなバロメーターとなります。
信用力が乏しいと自覚する申込企業に関しては、手数料が高めのファクタリングサービスを狙ってみましょう。
信用力と手数料には明確な関連性があり、信用力が高いほど低い手数料で借りられます。
逆に信用力が低くても、手数料の高いファクタリングであれば利用できる可能性が高くなるのです。
2社間サービスの手数料は10~15%程度となり、7%程度の3社間サービスと比べて高くなっています。
2社間サービスは自社の信用力が低い、資金調達に苦慮していることを売掛先に知られたくないといった企業におすすめです。
一方の3社間のサービスは、自社の信用力に自信がある、売掛先にファクタリング利用の同意を得ているといった企業に向いています。
■審査のないファクタリング会社は存在しない
審査の厳しい、甘いは存在しますが、審査のないファクタリング会社はありません。
悪徳業者が存在するのは、貸金業者だけではないのです。
ファクタリング会社を名乗る業者の中にも、一部に違法業者が存在するので注意が必要です。
金融庁が認可していない未登録業者も存在するので、利用に際してはファクタリング会社の情報収集・精査が必須でしょう。
怪しい業者の多くは個人規模で運営しています。
この点は、近年流行っているソフト闇金と非常によく似ています。
実際にソフト闇金がファクタリング事業を運営するケースが増えているなど、近年は非常に問題になっているのです。
あまりにも話がうますぎると感じたら、高確率で悪徳業者だと認識してください。
ファクタリング会社は個人信用情報機関との関わりはありませんが、審査に関しては100%実施されます。
■サラリーマンを対象にしたファクタリング
ファクタリングは、本来事業者に対してサービスを提供していますが、近年はサラリーマンを対象としたサービスが登場しています。
給料ファクタリングと呼ばれるサービスで、売掛金ではなく給料を買取してもらう方法です。
給料の前借りに近いシステムですが、勤務先の企業ではなくファクタリングから金銭の受け取りをするのが特徴です。
買取額は必ず額面より少なくなるので、実質的に給料が減ると考えて間違いありません。
また、給料ファクタリングにおいては、貸付と同様の性質を持っています。
実際に、貸金業に相当するという見解もあり、違法業者が運営しているケースがあるので注意が必要です。
給料ファクタリングは、信用情報機関のブラック情報が影響せず、すでにブラックの状態にある人でも利用できます。
一方で、手数料は相当に高く設定されており、年率に換算すると1,000%超にもなるところがあります。
これが消費者金融やカードローンの場合ですと、年率が20.0%を超えることは法律的にありません。
2020年には、東京地方裁判所で給料ファクタリングは貸金に該当するとの判断が下されています。
さらに、2023年には、最高裁判所第三小法廷が給料ファクタリングは貸付に該当するとの判断を示しました。
こうした経緯があるため、ローンの代用に利用するのは避けたほうが良いでしょう。
■まとめ
結論として、個人信用情報に問題があっても、ファクタリングの利用に影響はありません。
ただし、ファクタリング会社間でデータを情報共有されるケースはあるので、過去にファクタリングの利用で問題を起こした申込企業は要注意です。
また、個人信用情報への照会がないからといって審査がないわけではありません。
悪徳業者を除いて、ファクタリングの利用においては絶対に審査があります。
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